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完全に思考が停止していた。
急速に色んな情報が頭の中に一気に流れ込んだ為、処理能力が追い付かない。
徘徊?麻美?
そして――――殺された?
全く、完全、完璧に意味が分からなかったが、コイツが本気なのだけは分かった。
僕の胸倉を掴む力からもよく分かる。
「何とか言えよ!!」
何とか。
いや、ふざけている場合ではない。
こういう時こそ、クールに、冷静に、だ。
一緒だ。よし、大丈夫。
「けほっ…………ぼ、僕はそれに関しては、なにも知らない。関与もしてない」
胸倉を掴まれているため、喋り辛かったが、ここで喋らなければ、コイツは本気で僕の事を殺す。
そんな嫌な確信があった。
「どの口がほざく!」
胸倉を掴んでいる手に更に力が加わり、首を絞められている様な圧迫感が僕を襲う。
「ぐっ……ほ、ホントだ……信じてくれ……」
僕の言葉を聞くと、鷹虎は僕の目を真っ正面から見た。
狂気しか浮かんでないと思われたその目は、意外にクリアで。たった一つの感情に塗りつぶされているのが分かった。
完全なる怒り。
寒気が走る。怖い。
そしてしばらくして、僕を下ろした。
「クソがっ!!」
そう言いながら、体育館の換気口の鉄枠を殴る。
鉄枠がひしゃげる。
……うぉーい。
鷹虎の拳からも血が出ていたが、なんつーパワーだ。
素手で人を殺せますよ。
とにかく、身の保身の為にも鷹虎から話を聞こう。全てはそれからだ。
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