第五章  坂崎コウ君の非日常③

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「鷹虎。話が見えない。話してくれないと、僕には何が何だか分からないから、ちゃんとした返答も出来ないだろ?だから、話してくれ。鷹虎」 「……とにかく………お前が犯人でない事だけは分かった。それでいい」 「良くないよ。説明が足りなすぎる」 「………人ってのは、目を見りゃ大体分かる。正直な奴や、腹黒い奴。目に現れるんだ。ましてや、人殺しをした奴なんざ、すぐ分かる。だが、お前はそんな目をしていない。ボーっとしてて、何考えてんのか分かりゃしないが、それでも人殺しはしちゃいないだろう。そういう事だ」 ダメだ。 コイツ、全然分かってない。バカだ。 そういう事を聞いてるワケじゃないのに。 とにかく、僕を襲う(問い詰める、というにはあまりに暴力的だ)に至った経緯、それを聞かねばならない。それを聞くには……… 「麻美さんって、誰なんだ?お前の過去、経緯が聞きたい」 「………麻美は、俺の彼女だよ。それだけだ」 「……いい加減にしろよ!!これだけ人に迷惑かけて、理由も話さないって?お前には礼儀の一つすらないのか!」 いい加減、ムカついた。ホントに要領を得ない奴だ。早く話しやがれ。 …………ちょっと、調子に乗りすぎたか?死ぬかもしんない。 「………なら聞こう………お前には、この先に足を踏み入れる覚悟があるのか?聞いたらもう日常に戻れない、そんな話を聞く覚悟が?」 「構わないよ。聞こう」 「……そこまで言うなら話す。ただし、ちょっと長いぞ」 「いいよ。聞くさ」 キーンコーン。カーンコーン。キーンコーン。カーンコーン。 昼休みの終了のチャイムが鳴り響く。 しかし、不毛な授業を受けるより、今ここで鷹虎の話を聞いた方が良さそうだ。 というか……何も考えずに即答しちゃったけど……大丈夫だよねー…? 実は俺は悪魔の息子だったのだ!貴様と契約を結んでやるわー! おやめ下さい! こうしてやるわ! あーれー。 という展開になったら、どうすんだ。 しかもやたらアホっぽい。あーれー…は時代劇の女の特許。 と、とにかく話を聞こう。 全てはそれからだ。
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