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「鷹虎。話が見えない。話してくれないと、僕には何が何だか分からないから、ちゃんとした返答も出来ないだろ?だから、話してくれ。鷹虎」
「……とにかく………お前が犯人でない事だけは分かった。それでいい」
「良くないよ。説明が足りなすぎる」
「………人ってのは、目を見りゃ大体分かる。正直な奴や、腹黒い奴。目に現れるんだ。ましてや、人殺しをした奴なんざ、すぐ分かる。だが、お前はそんな目をしていない。ボーっとしてて、何考えてんのか分かりゃしないが、それでも人殺しはしちゃいないだろう。そういう事だ」
ダメだ。
コイツ、全然分かってない。バカだ。
そういう事を聞いてるワケじゃないのに。
とにかく、僕を襲う(問い詰める、というにはあまりに暴力的だ)に至った経緯、それを聞かねばならない。それを聞くには………
「麻美さんって、誰なんだ?お前の過去、経緯が聞きたい」
「………麻美は、俺の彼女だよ。それだけだ」
「……いい加減にしろよ!!これだけ人に迷惑かけて、理由も話さないって?お前には礼儀の一つすらないのか!」
いい加減、ムカついた。ホントに要領を得ない奴だ。早く話しやがれ。
…………ちょっと、調子に乗りすぎたか?死ぬかもしんない。
「………なら聞こう………お前には、この先に足を踏み入れる覚悟があるのか?聞いたらもう日常に戻れない、そんな話を聞く覚悟が?」
「構わないよ。聞こう」
「……そこまで言うなら話す。ただし、ちょっと長いぞ」
「いいよ。聞くさ」
キーンコーン。カーンコーン。キーンコーン。カーンコーン。
昼休みの終了のチャイムが鳴り響く。
しかし、不毛な授業を受けるより、今ここで鷹虎の話を聞いた方が良さそうだ。
というか……何も考えずに即答しちゃったけど……大丈夫だよねー…?
実は俺は悪魔の息子だったのだ!貴様と契約を結んでやるわー!
おやめ下さい!
こうしてやるわ!
あーれー。
という展開になったら、どうすんだ。
しかもやたらアホっぽい。あーれー…は時代劇の女の特許。
と、とにかく話を聞こう。
全てはそれからだ。
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