第六章  鷹虎刹鬼くんの日常①

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「あら?そんな事ないわよ。私は結構ヤクザの妻である事、楽しんでやってるわ。それも誇りを持って、ね」 「ハッ。たくましいな」 「ヤクザの妻ですから」 「………そうか」 と、その時。 「お帰りなさいませ。頭」 「あら?変ねぇ…。今日は遅くなるって聞いたのに…」 ちっ。早く帰って来やがったのか。 早いとこ、部屋に戻ろう。 しかし、捕まる。現頭主であり、親父でもある、鷹虎壊鬼に。 「なんだ……帰ってたのか。お前も」 「……………」 無言で返す。 「ふん。毎日、毎日、女にノロケおって。全く」 「……………」 無言で返す。 「バカになる一方だ。お前には、俺の後を継いで貰わなきゃならねえのに」 「……………」 無言で返す。 「第一、あの女のどこがいいんだ。あんなバカ娘と関わってるだけで、お前にもバカがうつるぞ」 それは鬼門だ。クソ野郎。 「………てめぇの方がよほどバカだろ」 「!………ほぅ。親に口答えするか。偉くなったもんだな、お前も」 「黙れ。もし、今度あいつについて、何か口出ししたら………殺すぞ」 「ハッ。やってみろ。ガキが」 話してると、ますますイライラしてくる。 ホントに人の気を逆撫でする野郎だ。 話を打ち切って、部屋に駆け込む。 クソっ! あいつだけは……あいつだけは……気に食わねぇ。 俺は……絶対に、アイツの後継ぎには絶対ならねぇ。 絶対に。
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