第二章  坂崎コウ君の非日常①

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       【鷹虎刹鬼】 たかとら………なんだ?読めん。 とりあえず、何か字が物騒なことだけは分かる。 「【たかとらせつき】君だ!諸事情でこんな中途半端な時期に転校してきたワケだが、みんな仲良くしてやってくれ」 いや、ムリだろ。 色々怖すぎるし。みんなひいてんぞ。 「では、鷹虎からも一言」 「…………………………」 静かだ。 というか何故そこで黙る鷹虎。いや、鷹虎君。 「……………あー。鷹虎はこういうのは苦手かな?ならいいんだが。ま、まぁ、すぐこのクラスにも慣れるだろう……。え、えーと。教科書は後で注文してたのが届くから。で、席は空いてるところに……………」 教師の話も聞かずに歩き出す鷹虎。普通なのかもしれないが、やたら横柄に見える。 ん? 何故僕の方へ? え?あのー。 目の前で立ち止まってもらっても困るというか何か物凄い眼ツケてくるんですけど! こ、こえぇ! 高一にして、チビりそう!ママ!助けて! 鷹虎の物理的にも重そうな口が僅かに開き、空気が震える。 が、低すぎて何も聞こえない。 アルティメットハスキー鷹虎。 え?何か言いました? なんか口動いてっけど、聞こえねぇ! あ、動いた。そんで座った。 あ、なるほど!僕の横の席に座りたかっただけね。っていうか、席隣か! お、おーまいがー。 しかも、何? 教科書届くまで、見せなきゃならないラブコメ展開? 鷹虎君との生まれて初めての共同作業? し、死にてぇ。というか助けて。 こうして、この存在自体が非日常みたいな男に、僕の日常はあっさりと踏み潰された。 5分で。いや、2分? マジで勘弁してくれ…………。
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