磨り硝子

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「結局眠れなかった…」 目の下の隈を隠すように、厚めにファンデーションを塗る。 「冴えない顔…」 カチコチと鳴る時計を見上げ、いつもの時間に家を出る。 駅には毎朝と同じ友達の顔があった。 「顔色悪くない?」 「……ハァ」 「何で溜め息?」 「昨日ちょっと…ね」 「ナニ?ナニナニ?」 「笑わない?絶対笑わない?」 「うんうん!笑わないよ」 既に笑いそうな友人に、昨日の事を話すべきか悩んだのだが、やはり自分1人の胸に納めるよりは、少し楽になりたい気持ちが勝ち、全てを話してみた。 「何ソレ………アハハ…」 案の定笑う友達。 「馬鹿にしてるでしょ?」 「してないよ…してないけど……ククッ…幽霊って……アハハ…」 「ハァ…話さなきゃ良かった…」 隣で笑う友達に電車内の視線が集まる。
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