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変な人だった…。私は良く柴原に似ていた須賀野店長にもう柴原の影を追わなくなった…。
それからは仕事がなんだか楽しかった…。やりがいを感じ始めた…。
仕事にやりがいを感じ始めたそんな時期に、やはり問題は扶養の事だった…。
その頃の私は柴原を考えなくなっていた…。楽しい…仕事…。
でも…やっぱりダメだった…。扶養の事を考えると、バイトでは居られなかった…。
須賀野店長とは仲良くなっていった……。運転免許をとるのに、分からない所を教えて貰ったり、帰りはほぼ毎日送って貰っていた…。
ただ…男と女の関係はなかった…奥さんは10歳年下の綺麗な人だった…。
女優にいそうなタイプだった…木村多恵に少し似ていた…。
子供は4人…。かなりな愛妻家の旦那さんのような人だった…。
いつものように帰り送って貰っていたその時…須賀野店長は私にぽつりと話し始めた……。
「うちのお袋さん…大腸癌で…もう長くないんだって……。」
かける言葉がなかった…。
「何で…気付けなかったんだろうね…毎週会いに行ってたのに……。」
泣きそうになった…。
「気付いたら末期なんて…」
私は病院に何故連れていかなかったのかを聞いた…。
「お袋さん…ずっと腹が痛かったみたいなのに…我慢強くて…ずっと我慢してたみたいで……。」
須賀野店長は一言、ごめんね…暗い話しちゃって。と謝った。
家までたかだか1分だが…わざわざ遠回りして帰った……。
涙が止まらなかった…。須賀野店長の悲しそうに話す姿を見て、いつも優しく朗らかな須賀野店長があんなに悲しそうにしている姿を見たとき…少し…胸が苦しくなった……。
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