不純な恋の始まり

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須賀野店長は時々休むようになった…そろそろヤバいらしいよ。とパートのおばちゃんたちが話していた。 年を越せればいいのにね…と言うおばちゃんもいた。 その頃の私はマネージャーと公私共に仲良く、須賀野店長のお母さんの様子はマネージャーから逐一聞いていた…。 抗がん剤…辛くてやめたいと愚痴を言い出したらしい……。 どっしりとした肝っ玉母ちゃんだったのに…ひょろひょろになったらしい…。 最近は須賀野店長が来ると布団を被ってしまい、家に帰らせて、と言うらしい……。 涙なんて見たことなかったのに…最近は良く泣くらしい……。 相変わらず私に笑いかけてくれるが…その笑顔はどこか寂しそうだった……。 そして11月…年末に向けてスーパー業界が慌ただしくなり始めた頃だった……。 朝、出勤すると須賀野店長も忙しそうだった…。私はいつものように帰り送っていって下さいと、頼んでから仕事に入った……。 18時00分を過ぎた頃だろうか……?急にカウンターが慌ただしくなった…。カウンターにふと目をやると、須賀野店長が走って店を出て行った。 あぁ…お母さんだ…。 私はそう直感した…。 仕事も終わりタクシーを呼ぼうとしたら、肉屋のマネージャーが「今日は須賀野店長から裕香さんを送って行って欲しいって言われてるから。送って行くね❗」 あぁ…あの人は……こんな時まで、人の心配してる……。 次の日…須賀野店長は出勤しなかった…店長不在の繁忙期だった……。 一週間後…須賀野店長が私服で店に来た…。 おはようございます…と話しかけようと思った時、須賀野店長の目が真っ赤になっていた……。 あぁ…亡くなったんだ……。と思って休憩室に行く途中。 「裕香さん❗」 私を呼び止めたのは須賀野店長だった…。泣いたんだろう…少し目が腫れていた……。 「うん…お袋さんね…昨日の夜ね…みんなに看取られて…逝ったんだ。」 あぁ…涙がこぼれ落ちそうだ……。その涙を拭ってやりたい。と心底思った…。
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