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「好き。好きです。愛してる。愛してください。愛しい。愛しすぎて自分を押さえられない。あなたが格好いいとか悪いとかじゃないの。ただただ好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きで好きでスキデスキデスキデスキデスキデスキデスキデスキデ誰よりも好きで、世界よりも好きで、あの世よりも好きで、あなたを見ているだけで私の常識は簡単に破壊されて、まだ物足りなくて、あなたに触れると私の世界は簡単に破滅を迎えて、まだまだ物足りなくて、あなたの声を聞くと私の存在が簡単に崩れて、まだまだまだ物足りなくて」
「遂に、告白しちゃった。一夜、愛しているの。」
それは、僕が、というよりは僕達の学年が一年の時の入学式を迎えた次の日のことだった。
数人の女子生徒に呼び出され、屋上に行くと、彼女一人が立っていてこういう告白をされたわけだ。
「ねぇ、返事をくれないかな? ちなみに私の返事を断ったとしても絶対に私は諦めないから。何回、何十回、何千回とあなたにアプローチをかけて、それはもうノイローゼになるぐらいに一夜を私の夫にするから。」
夫までいうのはいささか早急ではないだろうか。というかこれはもはや告白ではない。
脅迫だ。
十全なるおどし、この告白を受けなければ相手は勝手に僕のプライベートに入ってくる。この告白を受ければ両者同意の上で相手は僕のプライベートに入ってくる。どちらも同じようなもので、僕にはもはや為す術が無いことをしると観念してある決断を下した。
「君が、学校一の美少女になれれば僕に干渉することを許すよ。」
これは、嘘だった。大体この目の前の女性は女に疎い僕の目からしても直視で見つめることすらできないほどの美人である。学校一の美少女になることは容易だろう。
しかし、だ。学校一の美少女になる迄の時間を稼ぐことができるだけで僕はよかった。いくら何でも学校一の美少女になるのであれば半年はかかるであろう。そして、半年もあれば僕みたいな弱小者は忘却の果てに追いやられ、どこぞの男とひっつくと思ったからだ。
「ふふ、案外要求が低いのね。それとも私を見くびっているのかしら?」
――一週間後、彼女は誰しもが認める学校一の美少女になって僕の目の前に現われたのだった。
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