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今は2008年初夏、などとこと細かな季節や日付を抜きにして、とりあえずあっつい季節なんだなぁと皆様には思って欲しいところだ
皆様って誰だろ……
まぁそんなことはいいとして、僕はいつもの場所にいつもの様に、いつもの如く現れた。
そこは、いつも広く僕を向かい入れ、其処は、いつも何故か優しくて、底は、いつも何も無かった。
学校の屋上。
そんな、約五文字で表せてしまうようないささかさぼるのにはもはや常套句と云うより陳腐ですらある場所に僕はいる。
理由なんか聞かないでくれ。この僕の意志薄弱加減はこの僕が一番よく知っている、だから、そんな早く教室に戻れよみたいな冷たい眼をするのをやめてくれ。
これは、なんというか、……いや、あらがったところで何にもならないだろう。わかった、僕の負けだ。全身全霊骨の髄まで君に負けたよ。
じゃあ、素直にあの下品で凶悪で最悪で強烈で愚かな教室へ戻ろうか。いや、戻らせていただきます。なにせあなた様の意志なのですから、負けた僕が逆らえるはずがありません。
あの教室へ戻るために、自分の右手に力を入れ立とうとする努力をする僕。気付いたら横になって今まで眠っていたせいか、思うように力が入らないためうまく立ち上がることができない。
そんな、僕がどうしたもんかと右往左往している時だった。僕の頭上から白い、それはもうどんな宝石と比べても決して見劣りはしないぐらい白く、美しい手が差し出された。
「ふぅ……、自己問答は私も嫌いじゃないですけど、自分で自分を追い詰めるのも大概にしたほうがよろしいですよ、一夜(かずや)さん?」
そうか、そういえば言われるまで気付かなかったが、僕の名前は一夜だった。この目の前の白い手を取るついでに本名も思い出したので言っておこうか。
難微(なんび)一夜。これが親から唯一授かった、僕のフルネームだ。
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