第一章 冬になると

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病院に行ったほうがいいと言われたので取り敢えず内科に行ってみた。 どこの科に行っていいか解らなかったし、症状を話したら医師がどの科を受診したらいいのか教えてくれると思ったからだ。 診察室に入り、気分が落ち込むこと、家事も仕事もやる気がおきないこと、人に会うのがイヤなこと、それらの症状が2年続けて冬に出てくることを話した。 医師は『う~ん…』と唸って少し考えてこう言った。 『自律神経失調症ですね、ちょっとお薬出しますのでしばらくは様子みてください』 自律神経失調症と言うのがどんな病気なのか解らなかったけど、その時の私は医師に質問することさえ億劫で、とにかく言われた通り薬を飲めば何とかなると思っていた。 病院から家に帰ったとたん、まるで心の中に真っ黒な雲がもくもくと広がっていくような感覚がして、何だかとてつもなく不安になって、部屋の真ん中で座り込んだまま動けなくなった。 子ども達はゲームに夢中になっていた。 私は座り込んだまま、ただボーっと子ども達を見ていた… いや、正しくは『目は子ども達のほうを見ていたけど、頭の中は真っ白で何も見えていない』という状態だった。 どのくらい時間が経ったのだろうか? 『ママ、お腹すいたよ~』という声で我に返った。 『いまご飯作るね』と言ったものの体がだるくて思うように動けなくて、何をどうしたいのかも解らない… でも、ご飯作らなきゃ… だけど結局何も作れなくて、レトルトカレーにした記憶が残っている。
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