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更に視界を上にあげると、先程とは違う明るい照明が目を萎ませた。照明と言っても、弱々しい白熱電球ではあるが。
おい、と不安そうに後ろから声が掛かる。誰かが居ることを先程のざわめきから感知したのか狼狽する事なく振り向いた。
「ア、アンタ誰だよ…!それに、其の制服、橘南高等学校の制服じゃねぇか。何でそんなもん、此処にあんだよ?」
「何で?だって、全部学校も潰されて、…有り得ない筈なのに。」
ざわざわと一層どよめきが大きくなる。梓は理解出来ない、というような表情を浮かべながら辺りを見渡した。
弱々しい照明だからか、目を凝らさないと見えない。薄らと見えて来た其れは、ボロボロの袈裟のようなものを羽織った人間達だった。
何故か梓を皆怯えた様に見ている。訳の分からない情景に変わった世界で、知らない人達。梓の心は酷く痛んだ様にずきりと音を起てた。
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