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褒められたわけではないけど、何だか凄く嬉しくて私は折った鶴をサンタクロースに渡した。
「あげる。チョコレートのお礼」
「ありがとう」
帽子を被って、白い髭を付けているので顔は見えなかったけど、隙間から見える目が凄く優しくて印象的だった。
バイトなのかな?
まだ若い?
会って間もないのに、何だか彼のことが知りたくて、それから毎日会いに行った。
名前は教えてくれなかったけど、年は26歳で私よりも10歳も上。
本職に内緒でバイトをしているから、こうやって顔がバレない仕事は好都合らしい。
名前も顔も分からない彼に、私はいつしか夢中になっていることに気付いた。
「ねぇ、サンタさん。バイトはいつまでやるの?」
「本職の都合で23日までかな」
「なにそれ?!当日はいないの?」
「うん」
折角、つまらないクリスマスから脱出出来ると思っていたのに肩透かしをくらった気分だった。
当日いないんじゃ意味ないじゃん。
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