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それでも、彼のバイトの22日まで私は毎日会いに行った。
勿論仕事の邪魔にならないように。
23日は最後の日。
この日の為に、私は毎晩、料理上手のママにチョコレートケーキの作り方を教わった。
それこそお世辞にも、上手とも美味しいとも言えない出来栄え。
見かねたママは「ショコラケーキならあまり失敗せずに出来るわよ?」とアドバイスをしてくれてショコラケーキに即変更。
ママの手伝いもあって何とか完成したショコラケーキを、私は箱に詰めてラッピングし、彼の元へと届けに行った。
パパが物欲しそうにしていたのは、敢えて気付かない振りをしてね。
早く彼に会いたくて急かす気持ちを落ち着かせながら、私は足取りを早くする。
まだこの時間なら忙しくないし、もしかしたら休憩時間かもしれないと私の気持ちはひとりでに踊り出す。
早く会いたい。
早く会って、渡したい。
受け取ってくれるかな?
ドキドキしながらバイト先に行ったけど、彼の姿は見当たらなかった。
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