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何時間も待ったけど、結局彼は現れなかった。
暫くして、彼と同じバイト先の人が本職の方の都合で昨日まででバイトを辞めたと聞かされた。
唯一の繋がりだったものが一つ消えた。
私の心にポカンと穴が空く。
顔も名前も分からない人だけど、優しい声と優しい瞳だけは分かる。
一生懸命働いてる彼に受け取って欲しくて、あんなに頑張ったのに。
無駄になっちゃったな‥初めて作ったショコラケーキ。
私は重い足取りで綺麗にラッピングされた箱を抱えながら家路に着いた。
───次の日。
冬休み目前だと言うのに、私はこの前行われた期末テストの成績が悪かったので補習を受けることになり学校へ向かった。
手には昨日渡そうと思ったケーキの箱を持って。
自分で食べようと思ったけど、何かもったいなくて食べれなかった。
初めて誰かのことを想って作ったものだから。
本当に食べて欲しい人には食べて貰えなかったけど、学校に行けば友達や先生がいるし、皆に配ろうと思って持ってきた。
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