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あまりの小ささに見落としてしまいそうになるけど、私はすぐに気付いた。
そこにあったピンク色の小さな鶴は、私がサンタクロースの格好をした彼にあげた物だった。
そんな筈はないと思った。
だって、先生とは初対面だし、接点がない。
だけど、ここにある鶴は確かに私が渡した物。
だって、折り紙で折った鶴はそれはもうブッサイクで、可哀想なくらい下手くそだったから。
先生が作ったものなわけないもん。
先生は照れ臭そうな顔をして、無造作に置かれている折り紙をまとめて片付け始めた。
私は折り紙に向けていた視線をゆっくりと先生に向ける。
「‥‥サンタさん?」
すると先生は、教卓に置いてある小さなピンク色の鶴を手に持ち私に渡してきた。
私は手を差し出し、それを受け取る。
「まさか、この学校の生徒だなんて驚いたよ」
「やっぱり、サンタさんなの?」
私が声を上げると、先生は慌てて私の口許を手で覆う。
まだ冷たい頬は先生の手から伝わる体温によって熱をおびていく。
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