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「しぃーー!!教師はバイト禁止なんだから、サンタさんじゃなくて先生って呼びなさい」
私は先生の言葉にコクコクと頭を縦に振ると、口許を覆っていた手が離れた。
それから小さな声で話しかける。
「先生って、サンタさんなんでしょ?なんでバイトしてたの?」
「いや‥‥あの店の店長とは昔馴染みで、バイト代出すから手伝って欲しいって言われたんだ。教師はバイト禁止だからって一度は断ったけど、サンタクロースの格好すれば顔バレしないって言われて‥今月ピンチだったし、それでつい‥」
先生は口ごもりながらも、バイトの経緯(いきさつ)を私に説明してくれた。
サンタクロースは先生だった。
優しい声に優しい瞳は、確かにあの時のサンタさんで、それは間違いなかった。
帽子も白い髭も付けていない彼の顔をマジマジと見る。
26歳の割には、童顔なのか年齢よりも少し若く見える。
髪は少し茶色がかっていて、それでもサラサラとしていて日差しに透けて綺麗に見える。
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