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赤、赤、赤。
空も大地も赤色に染まり、黒き亡霊達が何かを求めるように地から腕を持ち上げ、空をかき、唯一の命ある者を捕らえるように伸ばしてきた。
亡霊達のうめき声が聞こえる。何故、お前だけが生きているのかと。
そして、親友であり相棒でもある彼が赤くぬれた姿で地から起きあがり、彼を見た。
「――ト。ディート」
赤い夢を見ていたディートは目を見開いて跳ねるように起きた。
ディートの額には汗がびっしりと浮かんでいる。
村や身を隠すのにちょうど良い洞窟などがなかったため、今夜は道のすぐ側で野宿をしている。
「ディート大丈夫なの?」
リキュアが心配そうな表情でディートの顔を下からのぞきこんだ。
「うわっ!?」
いきなりのぞきこまれ、慌てたディートは思いっきり体を後ろに倒す。勢いがついた体はそのまま地面に倒れ、後頭部が寄り掛かっていた木の根にぶっかった。
「っ…」
あまりの痛さに涙目になりながらもリキュアに抗議しようと息を大きく吸い込んだ。
「しっ! 子供達が起きちゃうでしょ」
リキュアに言われて火を挟んで反対側に仲良く寝ている双子の姉弟を見た。
姉弟にとって初めての旅は3日目。慣れない相当疲れがたまっているのか、大人2人が少し騒いでも起きる気配がない。
流石のディートも姉弟のことが気になり、初めは何故旅に参加するのか。村人達は反対しなかったのか。親は心配していないのかが気になり姉弟に聞いたが、返事はあっけないものだった。
「両親は死んだ。だから良いの。それにお兄さんみたいな強い人が一緒だから心配しないよ」
ディートがいくら強くても危険な場所へ向かう旅なのだが姉弟は戻る気はないらしく、連れて行かないと2人だけで旅をすると言い出したため、それならば一緒に旅をしようとリキュアが勝手に決めた。
確かにリキュアが言うように王都以外の場所では奪い合い、だまし合いが茶飯事で幼い姉弟だけでは生き残れないだろう。
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