出逢う

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「ここか‥‥」 山を切り開いたような土地に聳(ソビ)える白い校舎。 中世のヨーロッパ文化が垣間見えるその洋風な校舎は、静かにその前に佇む黒い影を見ていた。 黒い影、天羽間 永遠(そらはま とわ)。 黒地のセーラー服に白い襟、白い袖口。 その中央を彩るのはクリーム色のネクタイだ。 白い襟と袖口にはそれぞれ三本の灰色のライン。 私立にしては少々地味なのかもしれないが、この土地にはこの上なく馴染んでいた。 只、彼女のセミロングの錆色の髪だけが、その風景に浮いている。  
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