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順「おれ達あとでいいから綾ちゃん先に着替えて。」
僕と順は、外に出た。
それにしても自分のデリカシーのなさにはあきれてしまう。すっかり綾の存在が当たり前になっていて全然気がつかなかった。
しばらく待つと綾が出てきた。
綾「お待たせ。終わったよ。」
順「じゃ敏弘はやく着替えようぜ。」
僕と順も着替えを済ませて先生の元に戻った。
僕たちが戻ると先生はヨットを外へと運んでいた。
僕「手伝います。」
黒木「ありがとう。」
小さなヨットは台車[ヨット用語でいえばバーゼルとかランチャーと呼ばれている]に乗せられていた。小さい割りに意外にずっしりと重く、海に浮かべたら沈んでしまいそうだった。
黒木「今日はこのヨットでみんな交代で一日体験してもらうね。」
綾「楽しそうですね、でも…船酔いとかしそう。」
確かに、あまり船に乗った事のない僕たち3人は船酔いするかもしれない。しかし、先生は笑いながらこういった。
黒木「大丈夫よ。何も考えないから船酔いするの、集中してれば酔ったりする事はないわよ。」
綾「へぇ、大丈夫かな…」
順「綾ちゃんが船酔いしたら、僕が看病するから大丈夫だよ。」
綾「寝不足の順君が?」
ヨットを海辺のスロープの近くまで運ぶと先生は、ヨットを組立て[ヨット専門用語では艤装と言う]はじめた。
先生は、僕たちにいろいろと説明しながら、手際よくマストを立ててセール[帆の事。ヨットはこれに風を受けて走る。]をあげる。
船体に取り付けられた滑車[ブロック]に多くのロープ[シート]を通していく。
セールがゆるい風にゆらゆらとなびいている。
黒木「これで完成。」
僕「思ったよりも大きいんですね。もっと小さいものかと思ってましたよ。」
順「こうしてみるとかなりでかく見えるな。」
綾「なんか早そうだね。」
小さな船に大きなセール…その大きさに僕たちは感心していた。
黒木「今日はこのヨットに乗ってもらいます。これは、FJ級って呼ばれてるヨットなんだけど、2人乗りで高校生のレースはこのヨットがメインになるのね。まぁよっとにも色々と種類があって。この艇は、私が高校生の時からあるんだよ。」
よく見てみるとヨットのセールには、青い文字でFJと書かれていた。
その下には1748と書かれている。
僕は、その番号の意味がとても気になった。
僕「あの番号は何ですか?」
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