夕凪浜の夕日〓

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黒木「あの数字はセールナンバーって言うの。まぁ、このヨットの名前…みたいなものかな。私が高校のときはヨンパチってこの船を呼んでいたのよ。」 僕「48ですか。」 綾「名前なんだー。」 そんな話をしていると、向こうから背の高い男の人が近づいてきた。先生はその男性に声をかけた。 黒木「里中さん、おはようございます。」 里中「良ちゃん久しぶりだねぇ。今日は可愛い子供3人も連れてどうしたの?」 里中さんは冗談ぽっく言った。 黒木「まだ結婚していませんよ!」 里中「ようやく陵洋高校ヨット部も復活するのかな?」 黒木「今日は、一日体験ってことで来てもらったんですよ。」 里中「そうなんだ。あっ!みんなごめんね、話し込んじゃって。僕も陵洋高校卒業で黒木先生と一緒にヨットをやっていた里中です。よろしくね。」 僕たちは、里中さんに挨拶した。黒木先生が、里中さんについていろいろと教えてくれた。 里中さんは、黒木先生と同い年でヨット部に所属していた。 今は、オリンピックを目指してスポンサーを探しながらこの夕凪浜で練習を続けている。地元の自動車整備工場で働きながら週末練習しているという。 僕「へぇ、オリンピックなんて凄いじゃないですか!頑張ってください。」 里中「ありがとう。君たちだって練習すればすぐにうまくなるからヨットやってみてよ。俺も協力するから。」 黒木「そんなに押し付けないでよ。まだ正式な部員じゃないんだから。」 里中「そうだったね。じゃ今日はお手伝いさせてもらうからよろしくね。」 僕達「よろしくお願いします。」 黒木先生にしても、里中さんしてもヨットの話を始めると、とても活々とした顔をしているように僕には見えた。 ヨットとは、そんなに魅力のあるものなのだろうか?やる価値のあるものなのだろうか? 僕たちは、期待と不安を抱えながらいよいよ海へと繰り出して行く。
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