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しばらく歩くと僕は職員室の前で黒木先生に出会った。
黒木「村上君、どうしたの?」
僕「いえいえ、特には。部活は何にしようかなぁっていろいろ見学してみたいと思って。」
この高校のなかで何か良い部活、新しいことをしたいと思っていたがどのぶかつどうもありきたりだた。
黒木「そうなんだ。中学校ではどんな事してたの?」
僕「野球です。てか、小さい頃から好きだったんですよね野球が。でも自分の力には限界があるような気がして。
てか甲子園とかやっぱり行きたいなぁとか思ったりするじゃないですか?」
先生は僕の話を何も言わずに頷きながら聞いてくれた。
僕「それで、やっぱり高校は入ったからには何か新しい事始めたいなぁとか思って。」
黒木「へぇ、昔の私となんか似てる。」
僕「えっ?」
黒木「私もね中学校まではずっと吹奏楽部で楽器吹いてたの。子供の頃からピアノをやっててその影響で。
でもなんか違うなぁとおもったの。それで高校では何か違うスポーツとかしてみたいなぁと思って。それでこの高校に入ってね。
ヨットを始めたの。はじめは何も分からなかったけど練習して頑張ったら日々成長で出来るって言うのかな?海の上で一日中練習してるから嫌でも上達しちゃうわよね。」
先生はヨットの事を話し続けた。僕はその話に耳を傾けた。
黒木「それで大学に入ってからも続けたんだけど怪我しちゃって…それで引退。」
確かいまこの高校にヨット部は無かったはず…部活紹介でもやってなかったし勧誘の張り紙も見当たらない。
僕は先生に尋ねてみた。
僕「先生、今ってヨット部ってあるんですか?」
黒木「あるけどいまは活動休止中。」
先生の話によると三年前、三年生の卒業を最後にヨット部は部員不足となり活動休止状態となっていた。
かつてこの高校のヨット部はインター杯や国体の常連優勝校で有名だった。先生自身もインターハイ優勝、国体優勝の経験を持ち
大学時代にはオリンピックの強化選手にも選ばれた事があるのだと言う。しかし練習中の怪我が原因で引退を余儀なくされ、
現在は地元の小さなセーリングクラブで細々と子供たちにヨットを教えていた。
黒木「まぁ全部昔の話だけどネッ。」
先生は悲しそうな顔でそういった。
続く
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