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「すまねぇエリー、お前を守ってやれなかった……」
ジェドは、そう言うと泣き出した。
「痛かっただろ、苦しかっただろ…………。
ごめん。ほんとごめんな……」
ジェドは言い終わると、険しい表情になって泣き止んだ。
「仇は必ず討つからな、だから安心して寝てろ。
…………じゃあまたな。」
ジェドは後ろを向いて歩き出した。目的はもちろん魔王を倒すために……………
「………って…………」
「…ん?」
ジェドは辺りを見渡した。
「………って………ド」
ビュウーーーー!
その時、突然突風がふいて声はかき消されてしまった。
「空耳か………」
ジェドはまたスタスタと歩き始めた。
(待ってよジェド……私まだ生きてるよ……)
エリーは最後の力を振り絞って叫ぼうとした。
(あれ?……声が出ない…このままじゃ、気付かない…………お願い気付いてジェド……振り向いて)
しかし、エリーの願いは届かず、ジェドはどんどん遠ざかって行く。
(気付いて………お願いだから気付いてよぉ………行かないで……一人にしないでよぉ……いやっ…一人はいやっ……ジェド気付いて………)
エリーは自分の身体の奥から沸き上がってくる熱いものを感じた。
(やだ…やだやだやだやだやだっ!…お願い気付いてジェドーー!!)
―ゾクッ
ジェドは、防御な魔力を感じると後ろを振り向いた。
その途端。
ドゴォーーー!!
後方、百メートルくらいの場所から防御な魔力が空に噴き上がる。
「な…何て魔力なんだ……」
ジェドが驚くのも無理はない、何故なら噴き上がる魔力の直径は五十メートルほどはあったからだ。
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