六月中旬。

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糸郷とは高校からの付き合いだ。 正確には、中学から高校へ上がる間の時期に知り合った。 初めて会ったのは、高校の入学説明会の時だ。 入学式の二週間前に行われたこの会には保護者も出席するべきなのだが、生憎、僕の両親はバリバリの共働きなので、説明会には僕だけが出席する事になった。 糸郷も同じく親が来られず、入学生と親で二脚椅子を使うのだが、椅子が足りないからという理由で僕の隣の席に追いやられて来た。 何がきっかけかは覚えていないし、何を話したか覚えていない。それでも糸郷とは、入学してすぐ、同じクラスだというのも手伝って仲良くなった。 糸郷とは沢山の事を話した。 沢山のものを見た。 沢山の場所へ行った。 お前ら出来てんじゃねえのと言う定番のジョークも言われた。 自分でも驚くほど心を許せた。 馬が合うとはこういう事か、と思った。 以来、ずるずると腐れ縁である。
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