六月中旬。

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僕の紹介が終わると、OLから自己紹介が始まった。 「私は安芸津虎子、大学生だよん。よろしくね」 次はロリータ。 「節堂明、中学生です。お手柔らかに」 その次はガキ。 「香野侘助です」 無愛想だな……。ずっと本読んでるし。ガキの向かいのホストは、ストローをくわえたまま、 「高沼爰でーす」 ひらひらと手を振った。 そして、ホストと糸郷に挟まれて真ん中の席のリーマンが、峰井土互だ、と微笑みながら名乗って、自己紹介は終わった。僕は糸郷の隣に座った。 「さて、顔合わせも済んだところで、南佃君にこの会の説明を始めるよ」 OL(じゃなくて大学生の安芸津虎子)の説明によると、この会はある人の発足した「自警団」のようなもので、何か案件がある時は、こうして集会を開くのだという。それ以外でも、暇な時は予定の合う者同士で会って親睦を深めたり(遊んだり)しているとか。 ここで、疑問をぶつけてみる事にした。 「質問があります」 「はい、南佃君」 「何故僕が呼ばれたのですか?」 「うん、いい質問だね」 安芸津は、何故君が呼ばれたのかというとね、と前置きしてからこう言った。 「メンバーが殺されちゃったから、その補充としてです」 ………………はい? 何か今、物騒な動詞が出たような……。 「殺り逃げジャックは知ってるよね? ファック・ザ・リッパーとも呼ばれてるけど」 何の反応も示さない僕を無視して、安芸津は話し始めた。 「あいつにこの会のメンバーが殺されちゃったから、メンバーの知り合いから誰か新しい人を連れて来るように、って言ってたのね。でも中々見付かんなくて、そしたら糸郷君が、ちょうどいい奴が居るって言って、かくかくしかじか、君はここ連れられて来たのでした、ちゃんちゃん」 と、安芸津は話を締めた。
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