七月上旬。

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「小柳さんはどう思われますか?」 「あ? タガくんは虎子も狙ってるはずだから、難しいと思われ──」 「莫迦か、お前は。僕が訊いているのは本日の議題についてです。」 小学生にバカって言われた。 「侘助、読んでる本に影響受けすぎだぞ」 「失礼しました」 本から眼を離さずに言われては、誠意は感じられない。むかついたので冗談で返す。 「そうだな。とりあえず同級生だし、浴衣がやったとは思いたくないな」 侘助もツッコまず、重ねて訊いてきた。 「では誰が?」 「──案外、この周りにいる客の中にいたりして」 瞬間。 笑っていた明が、 明に頬擦りしていた互も、 ジンジャーエールにストローを突っ込んでぶくぶくしていた爰でさえ、 本を読み続けている侘助は変わらず、 発言者の僕以外は、 無表情になり、その眼に鋭さと冷たさが宿った。 さっきまでの朗らかさは、一切無い。 ──今だな。 「それでは、今日の議題、『ファック・ザ・リッパーの粛清』について、本腰入れて話そうか」 節堂明。 峰井土互。 高沼爰。 香野侘助。 南佃小柳。 今回はこの五人が、声を揃えて宣言する。 「『聡き蜥蜴に敬意を表して』」 この言葉で、始まる。 大事な世界を守る為。 大切な時を守る為。 大好きな人を守る為。 蜥蜴の、『尻尾切り』。
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