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「小柳さんはどう思われますか?」
「あ? タガくんは虎子も狙ってるはずだから、難しいと思われ──」
「莫迦か、お前は。僕が訊いているのは本日の議題についてです。」
小学生にバカって言われた。
「侘助、読んでる本に影響受けすぎだぞ」
「失礼しました」
本から眼を離さずに言われては、誠意は感じられない。むかついたので冗談で返す。
「そうだな。とりあえず同級生だし、浴衣がやったとは思いたくないな」
侘助もツッコまず、重ねて訊いてきた。
「では誰が?」
「──案外、この周りにいる客の中にいたりして」
瞬間。
笑っていた明が、
明に頬擦りしていた互も、
ジンジャーエールにストローを突っ込んでぶくぶくしていた爰でさえ、
本を読み続けている侘助は変わらず、
発言者の僕以外は、
無表情になり、その眼に鋭さと冷たさが宿った。
さっきまでの朗らかさは、一切無い。
──今だな。
「それでは、今日の議題、『ファック・ザ・リッパーの粛清』について、本腰入れて話そうか」
節堂明。
峰井土互。
高沼爰。
香野侘助。
南佃小柳。
今回はこの五人が、声を揃えて宣言する。
「『聡き蜥蜴に敬意を表して』」
この言葉で、始まる。
大事な世界を守る為。
大切な時を守る為。
大好きな人を守る為。
蜥蜴の、『尻尾切り』。
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