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窓の外の空が、あんまり静かで綺麗だったから、ほんのちょっと眺めていたかっただけなのです。
もしかすると、あんまり厳しい表情をしている先生の顔から、ちょっとだけ視線を外していたかったのかも知れません。
決して、話しを聞いていなかったわけではないのです。
「本当に注意力のない子ね!」
ぼくの机と心を、アンテナの鞭で、コツコツと叩きながら、似合いもしないミニスカートを穿いた太い脚で、イライラと、自駄とぼくのプライドとを踏みつけています。
ぼくは仁木という、この女の先生が大嫌いでした。
クラスのみんなも、たぶん、この仁木先生が大嫌いだったことでしょう。
だって、いつも眉間に皺を寄せた、ヒステリーで意地悪な、欲求不満のオールドミスに他ならなかったからです。
でも、その頃のぼくは、小学生でしたから、欲求不満なんて言葉の、本当の意味は、わかっていなかったかもしれませんね。
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