カラス

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「職員会議のため、五時限目は自習の時間とします。  みんなで静かにお勉強をしておいてください。………ちょっと!……聞いてるの?あなた!」  アンテナの鞭が、また、ぼくの机と心を叩きます。  どうやら、ぼくは、メのカタキにされているようです。  その頃は、『道徳の時間』なんていうのがあって、その日の五時限目も、その、『道徳の時間』ということになっていました。  今で言うホームルームみたいなものでしょうか?  いつもは、社会科を教えてくれている桑田先生という男の先生が来て、色々な面白いお話しを聞かせてくれていました。  桑田先生は、お話しが上手で、時々は、とっても怖い物語を聞かせてくれて、ぼく達を怖がらせてくれていました。  四十歳くらいで、背が低く、ガッシリとした体型で、ギョロッとした大きな目が、ちょっと、飛び出している様でしたが、いつも、ニコニコしている優しい先生でした。
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