遺作

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結婚式当日、おかぁはいそいそと朝から自分の呉服屋の名前が入った【たとう紙】を持ってうちに来た。     そう、私を着付ける為に。           『帯締めはこれ。帯揚げはこれ。 バッグはお母さんのこれ持ってな!! この帯見て!!綺麗やろ~!!!』   誇らしげに見せてくる。         『はいはい。』   と、適当にあしらいながらも、おかぁの笑顔を見ると、   『無理させて縫ってもらったけど、良かった。』   と思えた。               着物を着せ終わり、残るは帯。       『ちょっと変わり結びしようと思って♪』   と、おかぁはウキウキしていた。           『はい!できたぁ。』   おかぁの声で着付けは終了。               おかぁに送ってもらい、私は呉服屋の娘として式場に行った。
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