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ちょうどこの時期に、おかぁと冗談を言いながら入院費用を払いに行った時の事を、私は今でも鮮明に覚えている。
エレベーターを降りて会計の所へ続く廊下を歩いていた時、おかぁはふと、
『この肉腫…ほんま腹立つわぁ!!』
と言い出した。
『何でお母さんがこんな苦しい思いをせなあかんよなぁ!?
お母さんが何したって言うんよ!!』
改めて思うと、心の底からムカついてきたのだろう。
『そんなん友香に言われてもなぁ(笑)』
精一杯笑って答える。
『でもさぁ~1時間2時間すっごい吐き気でしんどくても、それさえ乗り越えたら肉腫が口からブワァーって出てきて、それで肉腫とおさらばなら…どんなにしんどくても耐えれるよな!?』
私が聞く。
冗談にしろ、あまりにも下らない妄想話。
それでも、そんな夢みたいな事が現実に起きたら…
みんなが笑えるのに……。
肉腫が大きくなっているという事実を受け止めなければいけない現実に、背を向けたくなったこの時、そんな事すら願わずにはいられなかった。
おかぁはというと、大爆笑しながら、
『当たり前やん!耐えるに決まってる!!
肉腫つかんで、
お前が私を苦しめてたんかー!!!
って怒鳴ったるわ(笑)』
そう言っていた。
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