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『おじいちゃん!!』
私が読んでも見向きもしない。
むしろ私の呼ぶ声なんて耳には入ってない感じ…。
『おととい電話かかってきてお前がガンになったって…。だから石切神社へお参りして色々買ってきたんや。あそこはガンに効くって言うから…。』
話を聞いていると、どうやらおばさんがおじいちゃん達に知らせたみたいだった。
紙袋の中身はお札とか湯呑みとか、そんな物がいっぱい入っていた。
それだけ渡すと、
『頑張るんやで。』
と言い、再び切符を買って改札に入る。
『くれぐれも娘をお願いします…。』
そう深々とじぃーじに頭を下げ、おじいちゃんとおばあちゃんは帰って行った。
ひたすらに娘の無事を祈り、お参りに行ったおじいちゃんとおばあちゃん…。
この日おかぁが休みだという事も知らなかったはず。
何も考えられず、渡さなければとそれだけを思い電車に乗ったのだろう…。
娘への思いの詰まった紙袋を持ち、おかぁは泣いていた。
私も胸が張り裂けそうになった…。
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