真夜中のエンカウンター

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  (誰だろう、こんな遅くに)  もう一度言うが今は午前一時。  周囲には人影どころか電気のついた家もない。  未央は声のする方向へと足を進めた。  声の主を見つけるのにそう時間はかからなかった。  数メートル先にある角を曲がったところに誰かが居たのだ。  未央はとっさに体を戻し隠れる。  顔だけを覗かせて観察してみた。  生憎逆光でよく見えないけれど、多分未央より二、三歳上くらいの年齢だろう。  ベージュのスーツに身を包み、顔にかけた眼鏡が街灯の光を反射して輝いている。  表情は分からない。  左手を胸あたりまで持ち上げ、何かをずっと呟いていた。  
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