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「──、だけ─です」
「え? ───かな」
「で───とってお──ましょう」
さっぱり分からない。
周囲を見回すがこの男以外の人影もなく。
呟きの内容も未央には理解できなかった。
(誰も居ないって、え、もしかして‥‥)
「あなた‥‥」
思わず声が出た。
とっさに口を押さえたけれどもう遅く、男はゆっくりと未央の方を見た。
「はい?」
なんとも呑気な返事だ。
「‥‥‥何、してるんですか」
気がついたら隠れる事もせず前へ出ていた。
街灯が未央を照らしている。
男が実にゆったりとした動きで未央に近付いた。
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