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「やっちまった‥‥‥」
教室に入って早々、未央は楽しく談笑していた友人たちにそう告げた。
当然言われた方は訳が分からず首を傾げている。
「なに、何があったん?」
「‥‥‥‥定期券、無くした」
「はぁっ!?」
うなだれる未央とは正反対に友人たちは爆笑。
「どんまい」と言いながら顔は満面の笑みだ。
「笑うなよ!」
未央の声をスルーし笑い続ける。
「だってさ、未央、いつ無くしたんだよ」
「わかんない」
「昨日は定期で帰ったよね?」
「うん‥‥」
未央は学校まで電車を利用しているため定期券は必需品だ。
昨日の出来事を思い返してみるが、駅から家にかけて定期券を出した覚えはない。
それでも今朝部屋を探したが見つからなかった。
「家には無い」
「じゃあやっぱ落としたんだ」
「どうすんのさ、今月始まったばっかだよ」
「また新しいの買うの?」
「金ない‥‥‥」
再び机に突っ伏す。
流石に友人たちも笑い事ではないと理解したらしく、もう笑う人は居なかった。
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