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授業中も考えてはみたが、やはり定期券の行方がさっぱりわからないまま帰路につく。
辺りはもう暗くなっている。
携帯は午後八時を指していた。
(あー、もう本当に無駄な出費)
今月は始まったばかりだというのに、このままでは乗り切れるかわからない。
(昨日変わったことなんて‥‥)
はたと未央は立ち止まる。
そう言えば、昨日は普段と違うことがあった。
しかも少し先にある通りを曲がればすぐあそこに着くじゃないか。
未央はなんとなく、曲がる必要のない角を曲がった。
「あ」
三歩も歩かないうちに男性を発見した。
昨日と全く同じ場所に、全く同じ格好で。
ずっとそこに居たのではないかと思ってしまう。
「おや、また会いましたね、ハラダ ミオさん?」
立ち止まる未央に男はゆっくりと振り向いた。
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