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「私は…また独りなのか…?」
約120年前(とは言うものの、はっきりとは知られていないが)一人の男が、女を残して世を去った。
女の名は『シリア=ミッシェリーナ』
微風にも靡くような、繊細で柔らかな、腰まで達する程の長い金髪。
それに良く似合った、白に淡い赤を帯びた肌。
華奢な肩。
豊かな胸。
細く括れた腰。
引き締まった長い手足。
何より印象深いのは、血のように赤い、緋色に澄み切った…だが、人形の如く無機質な光を秘めた…双眸だった。
シリアは見た目“少女”にも見えるが、お世辞にも『可愛い』とは言えず、正直『綺麗』な“女性”と呼べる、誰もが眸で追いたくなるような女だった。
しかし、シリアは普通の人間ではない。
まだ、魔女が実在していた時代。
何世紀にも渡って行われた、国家政府と宗教団体による異端児迫害、つまりは『魔女狩り』の被害者…魔女であった。
とは言っても、彼女は被害者でもあり、また魔女達にとっては憎むべき加害者なのであるのだが…。
魔女狩り当時、シリアは二十歳前後。
だが、魔女狩りから悠に六百年以上も過ぎ去っているというのに、シリアは未だ、気の遠くなるような永い時間を、独り生きているという。
何故、そんな事が可能か?
それは、総て“血”の為なのだ…。
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