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シリアがまだ若かりし頃。
この世に生を受け、長となってから二十五年目の事だ。
国家政府が魔女狩りを開始した。
老若男女と問わず、魔女と告発され猜疑をかけられた者は皆、宗教裁判に引き出され、尋問から拷問、自白へと無理矢理に事を進められ、執行猶予もない極刑同然の火あぶりの刑や、串刺し刑などの惨たらしい処刑法で殺されていった。
子供は生きたまま、体を刃物で突かれ、血を搾りとられた。
女は串刺しにされ、さながら鶏肉の如く焼かれた。
男は四肢と首とを縄で縛られ、雄牛に八方に引かれて裂かれた。
老人は侮辱の衣を着せられ、恥辱の中に晒され断首刑。
老婆は呪わしき自らの命運を、神に祈りながら火あぶり刑。
中には本物の魔女も含まれていた訳だが、魔女ともあろう者が、庶民一般が使う唯の焔で殺せる訳がない。
そう考えた国家政府と宗教団体は、不死鳥を身に宿し、その業火を操るミッシェリーナ一族との交渉に出た。
不死鳥の深紅の翼を背に生えさせ、紅蓮の焔を纏い、触れた者を塵も残さずに焼き尽くすとされるミッシェリーナは、国家政府にとって、畏怖を感じずにはいられない魔女一族だった。
しかし、魔女という事に誇りを持つこの一族が、同胞殺しに加担する事は皆無、首を縦に振る訳が無い。
拒否(NO)という答えが返ってくる事は、国家政府も重々に承知している。
そこで、国家政府は『他の魔女を始末するのならば、ミッシェリーナ一族は見逃そう』と、持ち掛けたのだった。
シリアはかぶりを大きく振り続けた。
『ならば、我々は我々の身を護るべく、貴様等ミッシェリーナ一族を滅するしかない』
痺れを切らし、意を翻した国家政府に、シリアは焦りを感じずにはいられなかった。
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