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引き止めませんから‐
そう言って手首を離す。
何処にだって行けばいい。私のせいなのだから。
なんて意味の含まれた行動なのだが、何処か悲しみに満ちたその顔は、‘許す’という結論しか導かせないものがあった。
「仕方ないなぁ~。雄にはは私しか居ないんだから。許してあげる。」
「私にはって貴女は違うって事ですか?」
田中の表情は変わらない。言い方も普通だ。
しかし、どんな返事をすればいいか解らない。
正直、焦る。
クスッ。
焦る綾乃を横目に田中はそんな反応だった。
「言葉のあやでしょう?
分かってますよ。
出なきゃ今頃離婚されてますね。」
冷静な判断だった。
分かってるなら聞くな!
そう言いたくなる。
私がどれだけ焦ったと思ってるの?
そう言いたくなる程だ。
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