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「誘拐された薔薇野木 百合さんの父…つまりポーカー食品社長の薔薇野木 菖蒲(ショウブ)さんは、幅狩さんからの脅迫状を受け取ったようですね。」
ばさ.と新聞を広げながら、右京さんが言いました。
「なんで誘拐しようと思ったんですかね」
「さあ。本人に聞かないと分かりません。会社同士の小競り合いもトラブルも無かったようですし」
─取調室Ⅲ─
「だぁかぁらぁ、テメェが誘拐・監禁したんだろ!?」
捜査1課の伊丹さんのイラついた声が聞こえます。
「ちげぇんだっつーの!俺じゃねえ!!」
幅狩さんも負けじと、その強面で返しました。
「なんで俺がライバル会社の娘なんか誘拐すんだよ!なんのメリットもねえじゃねえか!!」
バーン!と机を叩くと、その衝撃でライトがひっくり返りました。
「…やはり、もめていますね」
「なんで"やはり"なんですか?」
「似たもの同士は、ほぼ必ず喧嘩するでしょう?」
なるほど、と亀山君が頷くと、伊丹さんが取調室から出て
「特命係の亀山~ぁ」
「…アンタ本当にワンパターンだな」
「うるせぇよ。特命が何の用だ」
「幅狩さんに少々、お尋ねしたいことがあるんです。よろしいですか?」
「………どうぞ」
伊丹さんは苦い顔をしながらも、諦めたように言いました。
─続く
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