*取調室とトリオザ・捜①*

2/2
90人が本棚に入れています
本棚に追加
/19ページ
「誘拐された薔薇野木 百合さんの父…つまりポーカー食品社長の薔薇野木 菖蒲(ショウブ)さんは、幅狩さんからの脅迫状を受け取ったようですね。」 ばさ.と新聞を広げながら、右京さんが言いました。 「なんで誘拐しようと思ったんですかね」 「さあ。本人に聞かないと分かりません。会社同士の小競り合いもトラブルも無かったようですし」 ─取調室Ⅲ─ 「だぁかぁらぁ、テメェが誘拐・監禁したんだろ!?」 捜査1課の伊丹さんのイラついた声が聞こえます。 「ちげぇんだっつーの!俺じゃねえ!!」 幅狩さんも負けじと、その強面で返しました。 「なんで俺がライバル会社の娘なんか誘拐すんだよ!なんのメリットもねえじゃねえか!!」 バーン!と机を叩くと、その衝撃でライトがひっくり返りました。 「…やはり、もめていますね」 「なんで"やはり"なんですか?」 「似たもの同士は、ほぼ必ず喧嘩するでしょう?」 なるほど、と亀山君が頷くと、伊丹さんが取調室から出て 「特命係の亀山~ぁ」 「…アンタ本当にワンパターンだな」 「うるせぇよ。特命が何の用だ」 「幅狩さんに少々、お尋ねしたいことがあるんです。よろしいですか?」 「………どうぞ」 伊丹さんは苦い顔をしながらも、諦めたように言いました。 ─続く
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!