D.A.B

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2005年、春 都内、某大学   遺伝子工学研究部では、新入生 歓迎コンパのために早めに研究 を終わらせて機材を片付けていた。   「おい、新人!モタモタすんな よ!」   「はい、でもまだ、ダブを死滅 させてないから…」   ※ダブ DNA.Another.Bacteria の略で、頭文字から通称ダブと 呼ばれている、遺伝子組み換え に用いるバクテリアである。   「お前、何も知らねぇなぁ、 ダブなんて死滅させなくたって 空気に触れたら、すぐ乾燥して 死んじまうんだぞ…それに、 只でさえ予算無いのに、ダブキラー(死滅剤)なんて高額な物を、ポイポイ使えるかってんだよ!」   「はぁい…」   そう言うと新人の斎藤は、ダブ を水道に流した。   「こら、何をしとるか!しっか り死滅させてから処分せんと、 ダメだろう」   怒りながら入って来たのは、 榎田教授だった。   「今度から、ワシの監督の下で 処分する事…一つ間違えば、 生態系に重大な影響を与える事 になるんだぞ、いいな!」   その後ダブは、しっかり死滅した後で処分されるようになったが、教授の心配は、やがて現実の物となって行くのであった。 そして3年の月日が流れた…
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