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「で?何を調べたいんだ?やはり吸血鬼か?」
「まあ、そんなところ?最近はあんな事件もあったし…」
「しかし、紅い月の夜だけ血をすする吸血鬼とは、聞いたことないが…」
ブツブツと言うわりには、明日把は鈴奈の調べ物を手伝った。
「私一人でいいんだよ?」
「…気にするな。暇なだけだ」
鈴奈の言葉に明日把は書物から目を離さず答えた。
(こういう時は素直に手伝いたいって言えばいいのに…)
フフッ、と笑い鈴奈も調べ物を開始する。
「失礼します。お兄様、雪森先輩、お茶がはいりましたわ…」
そこにお茶とお茶うけを持って要が入室してきた。
「わたくしもお手伝いしますね」
そう言って要も書物を手にとった。
「いいのよ、要ちゃん…」
「いえ、宿題もなくて暇だったので…」
明日把と同じ返答だが、こちらはしっとりとした柔らかな返答だった。
(本当に似てる兄妹ね…)
なんだか矢切兄妹が羨ましくなってきた。
そんな時、鈴奈の目に目的の『ナイトクロウ』の名が飛込んできた。
「見つけた…」
「本当か?」
「見せてください」
鈴奈の元に明日把と要が集まる。
「ナイトクロウ…。お父様がよく話してくださった、ヴァンパイアの王ですね…」
「話していたか?僕は覚えていないな…」
「お兄様は適当に聞いてましたから…」
「矢切くんらしい…。兎に角、読んでみましょう…」
たわいのないやりとりの後、鈴奈は資料を読み始めた。
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