二章:ヴァンパイアの王

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「で?何を調べたいんだ?やはり吸血鬼か?」 「まあ、そんなところ?最近はあんな事件もあったし…」 「しかし、紅い月の夜だけ血をすする吸血鬼とは、聞いたことないが…」 ブツブツと言うわりには、明日把は鈴奈の調べ物を手伝った。 「私一人でいいんだよ?」 「…気にするな。暇なだけだ」 鈴奈の言葉に明日把は書物から目を離さず答えた。 (こういう時は素直に手伝いたいって言えばいいのに…) フフッ、と笑い鈴奈も調べ物を開始する。 「失礼します。お兄様、雪森先輩、お茶がはいりましたわ…」 そこにお茶とお茶うけを持って要が入室してきた。 「わたくしもお手伝いしますね」 そう言って要も書物を手にとった。 「いいのよ、要ちゃん…」 「いえ、宿題もなくて暇だったので…」 明日把と同じ返答だが、こちらはしっとりとした柔らかな返答だった。 (本当に似てる兄妹ね…) なんだか矢切兄妹が羨ましくなってきた。 そんな時、鈴奈の目に目的の『ナイトクロウ』の名が飛込んできた。 「見つけた…」 「本当か?」 「見せてください」 鈴奈の元に明日把と要が集まる。 「ナイトクロウ…。お父様がよく話してくださった、ヴァンパイアの王ですね…」 「話していたか?僕は覚えていないな…」 「お兄様は適当に聞いてましたから…」 「矢切くんらしい…。兎に角、読んでみましょう…」 たわいのないやりとりの後、鈴奈は資料を読み始めた。
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