二章:ヴァンパイアの王

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17年前の事件を調べる為、国枝は資料をあさる毎日を過ごし、連日署に泊まり込んでいた。 「警部、ここのところ仕事のしすぎと見受けます。たまには帰宅して、ゆっくりなさったら如何ですか…」 国枝の部下の一人である相澤瑞穂巡査が心配して声をかけた。 「心配かけるな。だが、泊まり込みの仕事なんざ、大学時代のバイトで慣れてるから、大丈夫だ」 だが、国枝は仕事の手を止めようとしなかった。 そんな彼の顎には無精髭が生え、目の下にはくまが出来ていた。 「ならせめて髭くらい剃ってきてください!!それまで仕事はお預けです!!」 そんな国枝に痺を切らし、瑞穂は国枝のデスクから資料の山を奪い取った。 「おい、相澤!!」 国枝は慌てて瑞穂に呼び掛けるが、彼女はツンと踵を返して自分のデスクに戻ってしまった。 「たく…」 「警部の負けっすね。素直に従わないと、瑞穂怖いっすよ~」 その様子を中内礼治巡査がニヤニヤと見つめていた。 「煩いぞ、中内。からかう暇があったら手を動かせ」 「へ~い」 国枝は中内に注意すると、髭を剃りに手洗いに向かった。 鈴奈は図書館で西洋のアヤカシなる本を読んでいた。 「…こんな児童向けの本じゃ、載ってるわけないよねぇ…」 ナイトクロウなるヴァンパイアについて調べようとしているようだ。 そこに、知った顔が現れた。 「雪森じゃないか。奇遇だな」 明日把だった。 「矢切くん…」 ナイトクロウに自分の事は明日把には話すなと言われていた為、最近は会うと妙に気まずかった。 「何か調べものか?西洋の怪物なんか見て…」 「あ…うん!!こないだテレビで見た吸血鬼特集が面白くて…」 なんとなくごまかしてみた。
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