二章:ヴァンパイアの王

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次の日。 鈴奈は久々の部活の無い放課後を、ウィンドウショッピングをして楽しんでいた。 何故か主に仮面を扱っている店ばかりだったが。 「買ったとしても、つけてくれるかしら…」 悩みながら、右往左往する鈴奈。 その時。 「仮面とは、なかなか可笑しな趣味をしているな、君は…」 明日把だった。 「矢切…違うわね」 鈴奈はその明日把から違和感を感じ取った。 「流石は私の花嫁だ…」 そう、それはナイトクロウだった。 「まだ夜じゃないし、紅い月の日でもないのに…」 「前もあったろう。それより、仮面などしてどうするんだ?」 ナイトクロウが聞いた。 「あのね…。今、私達の事を警察が調べているのは分かっているわよね…」 「ああ。君が一人警官を殺したがな…」 涼しい顔でナイトクロウが言った。 「素顔曝してこれからもやっていったら、色々困るでしょ?」 鈴奈は気にせず告げた。 「…それもそうだな。明日把が捕まれば、要も悲しむ」 「あら?人なんて食料なんでしょ?」 「要は別だよ。さ、選んでしまうぞ」 「はいはい…」 仕方ない人だな、と鈴奈とナイトクロウはその後オペラ座の怪人のファントムが付ける様な仮面を購入した。 「次の紅い月が楽しみだな」 「子供か、貴方は…」 「そうかもしれんな。では、またな、レクイエム…」 ナイトクロウは上機嫌で人混みの中へと消えていくのであった…
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