序章:紅い月

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「はあ、はあ、はあ…」 完全なる闇の世界に等しい路地を、女が走る。 何かに脅え、逃げるように。 「はあ、はあ…ああっ!?」 女は足をもつれさせ、転倒した。 「に…逃げなきゃ…」 立ち上がり再び走ろうとする。 しかし… 「あ…」 女は何かに気付き、立ち止まる。 「逃がさないよ…」 そこには怪しい瞳の少年が立っていた。 「ひ…っ!?」 「逃がさないよ。極上の血の女…」 少年は怪しい瞳を女に向けた。 その瞬間… 「その血、貰う…」 少年は脅える女の首筋に噛みついた。 「あ…」 女が最後に見た空に、紅い月が浮かんでいた…
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