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アナタはまた…あの丘で…夕日を見つめていた…
私はアナタの横にそっと座った…
「アナタは…何故無表情なの…?アナタの瞳には悲しみが溢れている…私はアナタの悲しみの理由が知りたい…」
少年は私を見て昔話しを話しだした…
「ある男の子が…ある女の子に恋をしたんだ…その女の子の笑顔に恋をした…」
少年は夕日じゃない遠い何かを見つめて言った…
「女の子は体が弱く…すぐに死んでしまう病気だった…男の子は女の子の笑顔がまた見たくて、よく公園で女の子と造った泥団子を造り…病院まで走った…」
私は少年を見つめ…少年の心の影を覗いた…
「男の子は早く女の子に会いたかった…だから信号が赤にも関わらず…わたってしまった…男の子は車にはねられた…男の子が病院で目を覚ました時…女の子は死んでいた…僕にこの目だけを残して…」
夕日が沈んでゆく…
「それから男の子は仮面をつけた…男の子の罪は消えることはない…でも…もう少しでこの世から消えるけど…女の子が残してくれたこの眼で世界を見てそして…天国にいる…女の子に返し…この景色…世界を…女の子に…持って行こうと思う…」
「そんなのだめ!」
少年は無表情のまま否定した私を見つめて言った…
「あの事故でね…僕の心臓の機能は低下して…あと二年ぐらいしか生きられない…」
私は涙をこらえて聞いた…
「何故私にこのことを…?」
少年は私の顔に触れて…
「君は僕が愛した女の子にどこか似てたから…だからかな…」
そして少年は去っていった…
私はある決心をする…たとえ…彼が…悲しむ結果でも…
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