序章‐追憶の夢‐

1/17
5人が本棚に入れています
本棚に追加
/28ページ

序章‐追憶の夢‐

   ああ。  分かる。  これは俺の嫌いな夢。  あの時の記憶の夢。  思い出したくなくてずっと記憶に蓋をしているはずなのに、いつもこうやって夢として鮮明に俺の脳裏に映し出される。  舞うように散っていく、紅く光る血。  泣いているのは『俺』。  何もできなかった『俺』。  心が、体が、魂が……全てが痛くて泣いている。  俺はもう見たくなくて、更に深い眠りにつくようにきつく目を閉じた。  深い、眠りに堕ちるように……。  
/28ページ

最初のコメントを投稿しよう!