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私は名前どおりの晴れ女。宮田 晴(16)。
両親は私に明るくなって欲しいのと、生まれた日が快晴だったから名付けたんだって。
意外に私はこの名前を気に入ってた。空斗に出会うまでは・・。
「あれ?」
その日は、空斗が外で待っていた。
毎日8時に空斗のマンションの呼び鈴を鳴らすことが私の日課になっている。
空斗は見かけ通り低血圧だから朝がめちゃくちゃ苦手なんだって。
「空斗が外で待ってるなんてめずらしいねぇ。」
「・・別に早く起きたから。」
「今日もいい天気だねぇ。綺麗な青空。」
「・・・そうなのか?俺には灰色にしか見えない。」
この会話は私と君塚 空斗(16)のいつもの朝のもの。
空斗の目には、いつも雨が降ってるらしい。だから、晴れてる日も灰色に見えるんだって。
空斗はクラスでは、誰とも話をしないから、皆の間では冷血人間だという噂が流れている。
でも、私と話す空斗は確かに無口だけど、とても素直で照れ屋だ。
そんな空斗に私は、いつか真っ赤な太陽を見せてあげたいと思っている。
「・・・今日は静かなんだな。」
「・・・えっ?」
「何かあったのか?」
「あっううん。何でもない」
あの誓った日から、少しずつ心を開いてくれてるみたいだけど、私が空斗に真っ赤な太陽を見せてあげられるのはまだまだ先みたい。
あーぁ。名前負けしてるなぁ。私。
「空斗、今日暇?」
「・・・まぁ。予定はないけど。」
「私が描いてる絵が今日出来上がりそうなんだ。一番に空斗に見てもらいたいなぁって思って・・」
「・・・いいよ。」
「空斗照れてる?顔赤いよ?」
「うるせー!!」
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