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「嘘つき」
「えっ?」
「私言ったよね?私の晴れパワーあげるって。」
「・・・」
「私いつもここで青空見ながら絵を描いてるの。でも、視線を下ろすと向かいの校舎にはいつも一人のあなたがいた。私は苦しかった。近づけなかった。だっていつもあなたの周りは大雨だったから。その雨は、きっといまの私の晴れパワーじゃ絶対に上がらない。」
そう言った彼女は、同情ではなく・・・哀れみでもなくて。
ただ一緒に晴れることを夢見てくれた。
でも俺は素直じゃなくて。
「だから・・・なんなんだよ」
「・・・太陽は何色に見えますか?」
こんなに語ってもらっても、素直になれなかった俺は答える気なんてサラサラなかったんだけど、宮田の真剣なまなざしに俺の世界は少し揺らぎ、そしてすこしだけ小雨になった。
「ねぇ?何色?」
「・・灰色・・まぁ、太陽だけじゃないが・・」
「えっ?」
「俺が目にしているものは、全て灰色で、雨でぬれて歪んでいるよ。」
「灰色ね。」
「ああ・・」
言葉にしたら、なんだか少しだけほっとして、そして怖くなった。
「よーし!分かった☆」
いきなり大きな声をあげた宮田は満面な笑みを俺に向け、
「じゃぁね、じゃぁね!ずっとそばにいて真っ赤な太陽見せてあげる!」
「!!はぁぁぁぁ?」
にっこり自信満々に言われた宮田の言葉に、俺は意識が遠退いていくのを感じた。
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