あなたとの時間の過ごし方

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カツ、カツ、カツ、     「千葉先生、こんにちはっ」 「はい、こんちは」     決して笑顔で返された挨拶ではないのに、女生徒たちは黄色い声を上げる。     白衣を翻して校内を闊歩する男。 ふい、と化学準備室に消えた。     「よぉ……来てたのか」 「うん、勝手にお湯も沸かしてる」     やかんをちらりと目の端に入れると、白衣も脱がずに椅子にどかっと腰掛ける。     「……薬品庫の一番上の左」 「分かった」       薬品庫の前に立つと、視界に入るインスタントコーヒーの袋。   (あとちょっと、なのに)     不意に影が落ち、自分の指先の一歩上を白衣が越えていく。     「小っせぇのな」     くく、と喉の奥で笑いながら、準備室のプレートを「実験中」に変える。       「先生ってコーヒーに何か入れるっけ?」 「ブラックで砂糖1本」 「それ、ブラックって言わないし」 「良いだろ、黒いから。お前はクリープと砂糖一個ずつな」       くしゃ、と頭を撫でられる。     「ちょ、ちょっと、ぐしゃぐしゃにしないでよ!サイテー!」       照れ隠しに、貴方の背中を叩いた。              (嬉しかった。覚えててくれたなんて)
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