第一幕

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桜が咲く4月… 進級し3年になった啓一はめずらしく遅刻をせずに学校に来た。 『えっと…げっ!?また皆とバラバラかよ。』 待ちに待ったクラス替え。 啓一の1年は今年もつまらない物になる気配がしていた。 そんな中啓一はある事に気付いた。 (あれ?藤井の名前がない…。転校していったんだ…ウザいのが減って良かった。) 啓一はそんな事を思いながらクラスメートになる人間の名前を見ていた。 (はぁ…つまんねぇクラスだな。…ん?げっ!?疫病神と一緒かよ。) クラスの名前の中に裕子の名前を見つけた啓一はげんなりしたように体育館の裏へと向かった。 (マジで勘弁だろ…。絶対にイトセンの嫌がらせだな。) タバコをくわえ火をつけ色々考えてると健太がやって来た。 「また離れ離れだな。」 『まっ、俺らは血ぃ繋がってるから仕方ないけど…。』 「村田とか佐藤もクラス離されたもんな。」 健太は同じグループの名前を出して溜め息をついた。 『まぁ…こんな学校も後1年だから我慢だな。』 啓一がそう言った瞬間後ろから低い声が聞こえた。 「お前らも初日くらいタバコ吸わないで終わらせられんのか?」 『げっ!イトセ…』 啓一と健太は声を揃え言いかけた瞬間に頭に拳が飛んできていた。 「お前らは始業式の間は俺と生活指導室に居ような。」 「えっと…始業式出ないと担任が…」 健太がとっさに言ったが伊藤は間髪入れず答えた。 「細田啓一は春田先生が担任で秋本健太は俺が担任だ。」 『げっ!また春田かよ…。』 「いや~、俺違う担任が良いなぁ…。」 2人は伊藤に引っ張って行かれながら溜め息をつきながら1年の長さを噛み締めた。
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