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『ったく…新年度そうそう…。』
殴られた頭を押さえながら体育館から聞こえる校長の話が面倒な式の進行を伝えてくれる。
「まだ時間かかるぞ。」
『まっ、座ってられるだけマシと言う事で…。』
「俺…幸代から貰ったライター取られたよ。」
『あ~あ…帰ったらひと波乱だな。』
健太は最近出来た彼女とライターの話をする事の面倒臭さに肩を落としていた。
「放課後だりぃな。」
『サッチン恐いもんな。』
啓一は少し笑いながら自分の鞄の中を見ていた。
『うげっ!?今日買った週刊チャンプルが無い…。』
啓一は読もうとしていた雑誌を取られてガックリ肩を落とした。
体育館の中では相変わらず長い校長の話が続いていた。
体育館という密閉された空間の中でご多分に漏れず倒れる女子生徒が1人、また1人と増えていく。しかし校長は壇上から降りる気配は無かった。
(校長先生いつまで喋ってんだろう。疲れてきちゃった。)
裕子は倒れていく友達が不謹慎にも羨ましく思っていた。
(倒れられたらどんなに楽かな…ってこんな考え良くないか。)
裕子がそんな事を考えていると後ろからクラスメートの理恵が裕子に声をかけた。
「ツルリン話長いよね。」
理恵は校長の頭を見ながらため息を着いた。
裕子は笑いを堪えながら答えた。
『ふふ…その呼び名は笑っちゃうからやめて…でも確かに長いよね。』
裕子と理恵の小声は体育館の特殊な構造のせいか思いの外響いていた。
春田が近くまでやってきて2人に注意を促す。
裕子は春田が居なくなった後理恵に舌を見せて少しおどけて見せた。
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